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drrr!!:臨也さん/title by 選択式御題
死ネタ未遂…?ヒロインがポジティブヤンデレ。
死ネタ未遂…?ヒロインがポジティブヤンデレ。
生きている価値のない人間というものは、やっぱり少なからず存在する。
そう、例えばそれはわたしだ。両親には存在を否定され、かと言って家族の外に円滑な人間関係も築けず、いつだって独りきり。時々、自分が本当にここに存在するのかどうかさえわからなくなる。
きっと、この世界にわたしという存在は必要ないのだと、いつもそんな風に考えていた。そしていつしかその思考は、それならさっさと死んでしまった方が、酸素とか水とか、いろんなものの節約になってずっと経済的だという結論に辿り着く。わたしがいなくなったところで、悲しむ人もいないのだし。
けれど、一口に自殺と言ってもそう簡単なものではなかった。高所からの飛び降りや線路への飛び込みは否応なく周囲に影響を及ぼす。かと言って自宅では、わたしの死後もしも家族が引っ越してしまえば所謂『曰く付き物件』になってしまう。いくらわたしを必要としていない世界でも、他人様に迷惑をかけるのはいただけない。だからわたしは、ネット上で集団自殺を誘う書き込みの中でも、一番迷惑のかからなさそうな方法を謳うそれに便乗することにしたのだ。
今まであらゆる他人と碌な関係を築けなかったわたしも、最期くらいはそういうのもいいかもしれない。最初はそんな軽い気持ちで書き込んだだけだった。けれどそれは、今思えば運命だったに違いない。
ああだって、ほら。
人ごみの向こうには見覚えのある後ろ姿。正にわたしが今から会いに行こうとしていたひと。折原臨也さん。あともう少しでも遅かったらきっと入れ違いになっていた。やっぱり、これは運命なんだわ!
臨也さんの背中を追いかけながら、わたしは、初めて出会ったその日のことを思い出す。
臨也さん(そのときは違う名前を名乗っていたけれど、ややこしいから割愛する)は、これから死のうというわたし達に「死んだ後のこと」を問いかけた。正直、わたしはそんなこと考えたこともなかったから黙っていたのだけれど、他の方々は、それぞれ何かしらのイメージがあるらしい。そして、一頻り聞き終えた臨也さんはその全てを徹底的に叩き潰した。その様は正に愉快痛快、この世の悪意を根こそぎかき集めたようで――わたしの心は、一瞬で惹きつけられたのだった。
そこから先、わたしが臨也さんに傾倒していくのは坂道を転がるよりも簡単だった。
「臨也さん、」
手が届く程の距離まで近付いたところで、わたしは臨也さんを呼ぶ。そして、振り返った臨也さんの身体にそのまま体当たり。
「……は、ッ、」。瞬時に状況を理解したのか、臨也さんが中途半端な表情でわたしを見下ろす。わたしはそれにとびきりの笑顔で応える。
「実はずっと考えてたんですけど。わたしには、やっぱり死んだ後のことなんてわかりません。何より、そんなの死んでみれば嫌でもわかるんですから、生きてる内にあれこれ考えたって仕方ないと思うんです。あ、でも、ひとつだけ、どうしても叶えたいことがあって――わたし、どうせなら死ぬときは臨也さんと一緒がいいなって。最期の瞬間、臨也さんの目に映るのはわたしで、わたしの目に映るのは臨也さん。ふふ、すっごく素敵だと思いませんか?」
言いながら、臨也さんの脇腹に突き刺したナイフをぐりぐりと捻る。傷口を広げるように、抉るように。その度、臨也さんが苦痛を噛み殺す声が微かに響く。
「だから、わたしと一緒に死んでください」
けれど、続けてわたしがそう言えば、臨也さんも少しだけ笑って、「本当にさあ……君は、読めない子だよねえ」。臨也さんのてのひらがわたしの髪を梳く。うれしい。だって今、臨也さんはわたしを見てる。わたしだけを。
「えへへ。だいすきです、臨也さん」
(あなたと二人なら何処へでも!)
そう、例えばそれはわたしだ。両親には存在を否定され、かと言って家族の外に円滑な人間関係も築けず、いつだって独りきり。時々、自分が本当にここに存在するのかどうかさえわからなくなる。
きっと、この世界にわたしという存在は必要ないのだと、いつもそんな風に考えていた。そしていつしかその思考は、それならさっさと死んでしまった方が、酸素とか水とか、いろんなものの節約になってずっと経済的だという結論に辿り着く。わたしがいなくなったところで、悲しむ人もいないのだし。
けれど、一口に自殺と言ってもそう簡単なものではなかった。高所からの飛び降りや線路への飛び込みは否応なく周囲に影響を及ぼす。かと言って自宅では、わたしの死後もしも家族が引っ越してしまえば所謂『曰く付き物件』になってしまう。いくらわたしを必要としていない世界でも、他人様に迷惑をかけるのはいただけない。だからわたしは、ネット上で集団自殺を誘う書き込みの中でも、一番迷惑のかからなさそうな方法を謳うそれに便乗することにしたのだ。
今まであらゆる他人と碌な関係を築けなかったわたしも、最期くらいはそういうのもいいかもしれない。最初はそんな軽い気持ちで書き込んだだけだった。けれどそれは、今思えば運命だったに違いない。
ああだって、ほら。
人ごみの向こうには見覚えのある後ろ姿。正にわたしが今から会いに行こうとしていたひと。折原臨也さん。あともう少しでも遅かったらきっと入れ違いになっていた。やっぱり、これは運命なんだわ!
臨也さんの背中を追いかけながら、わたしは、初めて出会ったその日のことを思い出す。
臨也さん(そのときは違う名前を名乗っていたけれど、ややこしいから割愛する)は、これから死のうというわたし達に「死んだ後のこと」を問いかけた。正直、わたしはそんなこと考えたこともなかったから黙っていたのだけれど、他の方々は、それぞれ何かしらのイメージがあるらしい。そして、一頻り聞き終えた臨也さんはその全てを徹底的に叩き潰した。その様は正に愉快痛快、この世の悪意を根こそぎかき集めたようで――わたしの心は、一瞬で惹きつけられたのだった。
そこから先、わたしが臨也さんに傾倒していくのは坂道を転がるよりも簡単だった。
「臨也さん、」
手が届く程の距離まで近付いたところで、わたしは臨也さんを呼ぶ。そして、振り返った臨也さんの身体にそのまま体当たり。
「……は、ッ、」。瞬時に状況を理解したのか、臨也さんが中途半端な表情でわたしを見下ろす。わたしはそれにとびきりの笑顔で応える。
「実はずっと考えてたんですけど。わたしには、やっぱり死んだ後のことなんてわかりません。何より、そんなの死んでみれば嫌でもわかるんですから、生きてる内にあれこれ考えたって仕方ないと思うんです。あ、でも、ひとつだけ、どうしても叶えたいことがあって――わたし、どうせなら死ぬときは臨也さんと一緒がいいなって。最期の瞬間、臨也さんの目に映るのはわたしで、わたしの目に映るのは臨也さん。ふふ、すっごく素敵だと思いませんか?」
言いながら、臨也さんの脇腹に突き刺したナイフをぐりぐりと捻る。傷口を広げるように、抉るように。その度、臨也さんが苦痛を噛み殺す声が微かに響く。
「だから、わたしと一緒に死んでください」
けれど、続けてわたしがそう言えば、臨也さんも少しだけ笑って、「本当にさあ……君は、読めない子だよねえ」。臨也さんのてのひらがわたしの髪を梳く。うれしい。だって今、臨也さんはわたしを見てる。わたしだけを。
「えへへ。だいすきです、臨也さん」
(あなたと二人なら何処へでも!)
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