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甘→シリアス。比較的長めです。気合入れすぎた^p^
薄暗い宮内で、天蓋付きのベッドに横になったわたしは、ただいたずらにうとうとと意識をさまよわせる。
本当は睡眠なんて必要ないのだけれど、ここには退屈を凌げるものなんて何一つないから、それ以外にすることがないのだ。
「……ウルキオラ、」
小さく呟いて、わたしは上半身を起こす。
なんだか寝ているのにも飽きてきた。ウルキオラが外に出るななんて言わなきゃ、面白いことを探しに行けるのに。
そういえば、最近ウルキオラがあんまり会いに来てくれなくなったな。藍染さまから、織姫さんとかいう人間の世話を任せられていて忙しいのは、わかってるけど(あっ別に嫉妬とかじゃないのよ!)(……でも、やっぱりさみしい)。
「安静にしていろと言った筈だ」
「えっ、うわ、ウルキオラ!」
突然声をかけられて、思わずびくりと肩を震わせる。
まったく、どうして君はいつも足音がしないんだ! とか、内心では悪態を吐きながら、それでもウルキオラの来訪は素直にうれしくて、わたしはベッドから出ようと布団に手をかけた。
けれど、ウルキオラは視線だけでそれを制した(そんなに睨まなくても……!)。
「いつもいつも、君は心配しすぎなんだよ。わたしは君より強いのに」
おどけたように嘯くと、ウルキオラは至って真面目な面持ちで、「単純な戦闘能力に限って言うならな」と呟いた(……知ってるよ、そんなこと)。
わたしの体は、戦うにはあまりに脆すぎるのだ。
そしてそれは、防御力の問題ではない。
わたしが有しているのは、防御など必要としないほどの圧倒的な破壊力。抵抗する間を与えずに、反抗する間を与えずにすべてを殺し尽くしてしまえる力。
しかし、それが問題だった。
わたしの体には、その力に耐え得る強度が絶対的に不足していた。
だからわたしにとって戦うということは、勝敗にかかわらず、正に命を削る行為に他ならない。
「お前はただここで大人しくしていればいい――すべてが終わるまで」
「……残念。わたし、ウルキオラの言うことはできるだけ聞くつもりだったけど、最後にそれを決めるのは君じゃないでしょ?」
ウルキオラは驚いたように目を丸くした。わたしには、苦笑することしかできなかった。
君がどんなにわたしを守ろうとしたって、藍染さまの意思の前ではなにもかもが無意味。
それに、藍染さまはわたしの弱点をよく知っている。たとえ身を削ることになろうとも、わたしはあのひとにだけは逆らえないのだ(大丈夫、大丈夫……わたしがちゃんとがんばれば、大丈夫。ウルキオラは、わたしが守るよ)。
「今度の現世侵攻、わたしも行くんだって」
ふと、藍染さまにとってはわたしを使い潰すことなんて容易だろうに、こうして生かされていることを不思議に思った。
ウルキオラはなにも言わないけれど、存外、似たような条件を突き付けられているのかもしれなかった(なんかやだな、わたしが君の弱みだったら)。
「そんな顔しないで。大丈夫だから。ちゃんと帰ってくるから」
(これは、戒めなのだ)