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ほのぼのとシリアスの間。ヒロイン=破面。
「こんにちは! えっと、織姫、さん?」
ばーん! と勢いよく扉を開いて、わたしは室内へ向けて宣言する。
そうすると、弾かれたように振り返った織姫さんは、驚いたのか、そのままの姿勢で固まって、ただ目を丸くしていた。
「……私に、何か用ですか」
けれど、その視線もすぐにかなしいような、諦めたような暗く沈んだそれに変わってしまう。
……警戒されてるなあ(まあ、当たり前、か)(ウルキオラなら大丈夫だと思うけど、ひどいことされたりしてないといいな)。
わたしは白いソファに勝手に腰かけながら、少しでも安心できるように、とびきり明るく笑ってみせた。
「あっ、えー……様子を見て来いって命令されたみたいな感じかな!」
それからわたしは立ち上がって、いつまでも立ち尽くしたままの織姫さんをソファに座らせ、そして自分もその隣に腰を降ろした。
その直後、
「えっなんか足音聞こえない? ウルキオラ? どうしよう見つかったら怒られる……!」
「さっき、命令で様子を見に来たって、」
「あっごめんなさい嘘でした! 本当は勝手に来ちゃったの!」
思わずソファの後ろに隠れながら、わたしは早口で言う。
自宮を出るなという言い付けを破った上、捕らえた人間のところにいるなんて知られたら、どれほど怒られるかなんて想像もつかなかった(ウルキオラは怒ると怖いのに!)(でも明らかにわたしが悪いから言い訳できない)。
けれどわたしの不安とは裏腹に、部屋の扉が開くことはなかった。安堵したわたしは、ソファに座り直して、心配そうな視線を寄越す織姫さんに、言い訳のような言葉を紡いだ。
「だって、こんなところに一人じゃさみしいでしょ」
(その言葉に驚く彼女を見て、改めて思い知る)(やっぱりわたしは、変わり者なんだ)