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切なくて甘い感じ……になってたらうれしい←
抑えきれないだいすきのキモチ。と、もしもの話。
退屈凌ぎにウルキオラの元を訪ねると、珍しくも彼はソファで眠っていた。
わたしはそっと隣に腰を下ろすと、細い肩にべたりと寄りかかってウルキオラの顔を覗き込んだ。
閉ざされた白い瞼。長い睫毛。さらさらの黒髪。その上肩は薄くて体付きも華奢だなんて、全く羨ましい限りだ(なんて言ったら、君は機嫌を損ねてしまうけど)。
そんなことを考えていると、ふと、呼吸がゆるやかすぎるその姿がまるで死体のように映って、急激な不安に苛まれる。
わたしは思わず、無造作に投げ出されたウルキオラの手に自分のそれを重ねた(細い指。真っ黒のネイル。ほのかな温度)(こうして掴まえていないと、どこかへ消えてしまいそうで、)。
すると、今度は安堵と共に甘い痛みが胸中に訪れて、じわりと視界が滲んだ。
「……楽しいこと、考えなきゃ」
わたしは乱暴に目元を拭って涙を追いやると、無理矢理に思考を切り替えた。
楽しいこと。こうなったらいいなって思うこと。
たとえば、死神と争うのなんかやめちゃったらもうウルキオラが怪我することもないのにとか、ウルキオラと現世に行って海が見たいとか。それこそきりがないほどたくさんあるけれど、どれも途方もない夢ばかりだった。
だからわたしは、もしもひとつだけ願いが叶うなら、ウルキオラの従属官になりたいと、思う(それは、わたしにとって身の丈に合った最高の我儘な気がした)。
だってそうしたら君の言うことだけを聞いていられるし、君を守れるし、つまりはいつも一緒にいられるってことだ(死ぬまで、ずっと)。
「すきだよ。ウルキオラがすき。だいすき」
抑えきれない感情が、言葉になってぽつりと落ちた。どこか覚束ないそれを、うわ言みたいだと思った。
するり、頬を滑る透明の液体。何度目元を拭っても、今度の涙はさっきみたいに止まってはくれなかった。
「何故泣いている」
頬に触れる冷たい感触。いとしい声。
振り返ると、目を覚ましたらしいウルキオラが、とても不思議そうに(理解できないと言うように)(わたしの中に答えを探すように)じっとこちらを見つめていた。
「すきって言って。わたしをあいしてるって。ねぇ、ウルキオラ、」
(ウルキオラがそんなことを言ってくれないのは百も承知だった)(ただの我儘だったのだ)(けれど彼は、呟くように、言った)