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DESTINY:レイ
ヒロイン=ミネルバクルー。レイの姉的ポジション。
24話だったか25話だったかのロドニアの研究所の辺りの話。

「レイ!」

 シンと二人で探索任務に就いていたレイの調子が突然悪くなったと聞いて、わたしは慌てて医務室へと駆けつけた。ぐるりと見回した室内には、驚いたように振り返るシンと医務室付きの軍医とその助手と、そして。
 ベッドサイドにジャケットを着かけたレイが立っている。頭のてっぺんから爪先までを眺めてみても、とりあえず外傷は見当たらない。それでもやっぱり顔色がまだあまりよくない気がするとか無理をしているんじゃないかとか、ふらふらとレイの傍に歩み寄りながらそんなことを考えていると――唐突なフラッシュバック。
 そこにいるのは小さなレイと小さなわたし。傍にはギルとラウがいて。レイの手を引くわたしに、えらいねって。嗚呼わたしの方がお姉さんなのにわたしがレイを守らないといけないのにそれなのにこんなそうだそもそもわたしが行けばよかったんだレイの代わりにわたしがそうしたらレイがこんな目に遭うこともなかったのに苦しい思いをさせなくて済んだのにつらい思いをさせなくて済んだのに!
 頭の芯が痺れたようにぼうっとする。視界が滲む。上手く言葉が紡げない。なんとなく息苦しい気がして酸素を取り込もうとするものの、何故だかそれも上手くいかなくて、無意味な喘鳴だけが空気を震わせる。それがもどかしくて躍起になればなるほど、呼吸の仕方がわからなくなってゆく気がした。

「少し落ち着け。ゆっくりでいい。俺は大丈夫だから。心配もしなくていい」

 そんなわたしの名前を呼んで。レイは足元の覚束ないわたしを抱きしめる。たったそれだけで、ほんの少し楽になる呼吸。「……れ、い」。わたしはようやくそれだけを呟いて、縋るようにその存在を確かめるように、レイの身体を抱きしめた。


(酸素のように水のように君がそこにいてくれなきゃ、きっとわたしは一日だって生きていけない)

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